認知症

定義

後天的に認知機能が低下し、自立した日常生活を送ることが困難な状態。

アルツハイマー型認知症といった脳の変性によるものや、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などの脳血管性認知症などの原因により、脳の機能に障害をきたしている。

 

 

特徴

認知症の特徴として、記憶、見当識、判断力、実行機能等の障害に加え、徘徊、妄想、攻撃的行動、不潔行為、異食があげられる。

このような症状から、歯ブラシ・義歯等の道具の使用が難しくなったり、日付・場所の健忘により歯科受診が困難となる。また、感覚機能にも障害を生じ、口腔衛生状態の不良・悪化を自覚しにくくなったり、虫歯に気づきにくく重症化しやすい。さらに認知症に伴う運動障害により咀嚼障害や摂食嚥下障害が生じやすくなる場合がある。

 

 

歯科治療上の対応

認知症患者は認知症そのものだけでなく、高血圧、糖尿病など、認知症以外の疾患も抱えていることも多く、当科では、個々の患者特有の症状や全身状態、認知症の進行度を考慮した治療計画を立てる。

また、認知症患者は不安を感じやすい状況にあるため、言葉だけでなく様々なコミュニケーション方法を用いて、安心して治療を受けていただけるよう配慮している。

患者の認知症の進行具合、歯科受療能力により、静脈内鎮静法、全身麻酔法といった薬物的行動調整法も組み合わせながら治療を行っている。