薬物を用いた行動調整法は、患者の意識を残した状態で歯科診療を実施する方法(笑気吸入鎮静法、静脈内鎮静法)と完全に意識をなくした方法(全身麻酔)に大別される。
いずれの方法においても、歯科麻酔科やかかりつけ医師と連携を取りながら実施する。
低濃度(20〜30%)の亜酸化窒素(笑気)と酸素(70〜80%)の混合ガスを吸入させることにより意識を失わせることなく鎮静状態を得ようとする方法。
鎮静薬や静脈麻酔薬を単独もしくは併用して「鎮静状態」を作り出す方法。
「至適な」鎮静状態とは、不安・恐怖、緊張や体動が軽減し、呼吸や循環が安定した状態である。
意識は消失するため、治療中の苦痛を与えず体動は完全に抑制された状態で歯科治療を行うことができる。
スペシャルニーズのある患者は、宿泊を伴う入院によって興奮、発熱、嘔吐などの症状を呈することがあるため、治療当日の朝に来院し全身麻酔での治療後は数時間の回復を経て当日のうちに帰宅する日帰り全身麻酔が選択される場合が多くなっている。